(11) スマート ディスプレイキャンペーン
【連載第11回】
今回はスマートディスプレイキャンペーンの概要についてご紹介を致します。
スマートディスプレイキャンペーンとは
スマートディスプレイキャンペーンは、従来のディスプレイキャンペーンの設定や運用を (一部) 自動化してくれるキャンペーンです。Google に蓄積された膨大な広告データと、機械学習アルゴリズムによって実現され、キャンペーンの設定を自動で最適化してくれます。
特にコンバージョン数の最大化を目的とし、過去に既に多くのコンバージョンを獲得しているアカウントをお持ちの場合は、特に効果を発揮します。従って、より多くのユーザーにアプローチしたい場合や、新しいユーザーを獲得したい場合に適したキャンペーンです。逆に、リマーケティングの効果を最大化することが目的の場合は従来のディスプレイ広告キャンペーンの利用を検討いただいた方がよいです。
具体的には、
- 「入札」
- 「ターゲットの設定」
- 「広告作成」
が全て自動で設定や最適化されます。そのため、広告管理者の負担軽減もできると同時に、キャンペーンの効果の精度を高められます。
利用条件
スマートディスプレイキャンペーンを利用するには、以下の条件がありますので、先ずはある程度運用実績を積んでおく (機械学習させる) 必要があります。
- 過去30日間に、ディスプレイ広告で最低 50 件以上のコンバージョンの獲得している。
- または、検索ネットワークで 100 件以上のコンバージョンを獲得している。
また、必須条件ではありませんが、キャンんペーンの広告予算は、コンバージョン単価 (CPA) の 15~20 倍を指定することが推奨されています。つまり、仮に CPA が 1,000 円の場合、推奨日予算は、15,000 ~ 20,000 円/日となります。
制限など
自動化のために、スマートディスプレイキャンペーンではいくつかの制限があります。広告を表示するターゲットの指定及び制限が自動化されており、広告管理者では指定ができません。下記の項目などが指定できないものになります。
- (リマーケティング リストを含めて) オーディエンスの指定をする
- スケジュールの指定をする
- デバイスの指定をする
- ターゲット地域に、Google マイビジネス (GMB) を指定する
上記の条件や目的に合致する場合は、ぜひ利用してみてください。
メリット
- 初期設定が早い
- 設定に必要な情報は、入札単価/目標CPA、1日の予算金額、広告クリエイティブアセット(広告見出し、広告文、画像、ロゴ)だけです。
- 運用の簡易化
- 「入札」、「ターゲティング」、「ディスプレイ広告」が自動的に選択、設定されます。
- パフォーマンスの向上
- アルゴリズムが、既存の個別のターゲティング設定よりもコンバージョンに至る可能性が高いユーザーに広告を表示します。
- コンバージョン単価や広告費用対効果、目標値の範囲内でコンバージョンを増やすことが期待できます。
- コンバージョン課金が利用できる
- コンバージョンに至った場合にのみ費用が発生する「コンバージョン課金」が利用できます。
- コンバージョンに至らなければどんなにクリックされても費用は発生しません。コンバージョン課金はスマートディスプレイキャンペーンまたは標準のディスプレイキャンペーンを使用している場合のみ設定可能です。
- コンバージョン課金を使用するには、過去 30 日間にコンバージョンを100 件以上獲得している必要があります。また、コンバージョンの 90% は、ユーザーが広告をクリックしてから 7 日以内に発生している必要があります。広告のクリックからコンバージョンまでの期間が 1 週間を超えることが多い場合は、コンバージョン課金を選択できないのでご注意ください。
弊社で運用しているディスプレイ広告を、スマートディスプレイ広告に変えて運用したところ、コンバージョン率が約 1% から 3% に上昇し、設定後の管理作業がほぼ無くなったこともあります。コンバージョン獲得を目的とする場合は、特におすすめです。広告アセットの変更や追加、目標CPAの調整をするのが日々の運用作業になりました。
コンバージョンアクションが数多く設定されているアカウントの場合、特定のコンバージョンアクションに偏ってコンバージョン獲得がされてしまうこともあります。そういった場合は、スマートディスプレイキャンペーンを分割し、「コンバージョン • アクション • グループ」を指定することで、コンバージョン内容の偏りを意図する比率に分散できます。
ベストプラクィス
下記の項目に従うと、スマートディスプレイのパフォーマンスの向上につながります。
1.コンバージョンのアトリビューションモデルの変更をする。
- データドリブン、接点ベース、線形など、デフォルトのラストクリック以外のモデルを利用してみる。
- 「アトリビューションモデル」についてはこちらもご参照ください。
2. 目標コンバージョン単価 (目標 CPA) を高めに設定し、後で下げる
- キャンペーン開始時は、実際の CPA よりも高めに設定し、2-3 週間経って学習ができ安定してきたら、10% 程度目標 CPA を下げます。
- 「高めの設定」には、ディスプレイ広告の平均 CPA より 20-30% 増し、検索広告の平均 CPA より 50% 増しが目安になります。
3.コンバージョン課金の導入をする
4.日予算は目標 CPAの 15-20 倍に設定する
- 日予算の目標 CPA の 15-20 倍を指定するのが、システム学習に十分な経験を与えるのによいとされています。
- システム学習には、4-5 週間程度が目安になります。
5.広告アセットの定期的な更新をする
- シーズン、新サービス、新商品、セールなどに合わせて、広告画像やテキスト文を常に最新にアップデートする必要があります。