(9)品質スコアについて
【連載第9回】
今回は検索広告で用いられる重要な指標である品質スコア (Quality Score, QS) についてご紹介致します。
品質スコアとは
品質スコアとは、検索広告のキーワードに対してつけられる評価点です。品質スコアは 1 ~ 10 の 10 段階の数値で評価され、 1~2 週間毎に更新されます。高い品質スコアを獲得できると、広告掲載場所を決定する広告ランクが上がり、入札単価自体が他社よりも低い場合でも、検索結果の上位や検索結果 1 ページ目に掲載が可能になります。
下記がその例になります。
状況設定として、ある人が Google で「cloud server」と検索したとします。検索が行われた瞬間に、Google 広告側が、cloud server というキーワードで検索広告を出稿していたA,B,C,D会社の広告ランクを瞬時に計算します。その広告ランクと実際に支払うクリック単価の計算結果が下の表になります。各会社の入札単価は、自動入札あるいは手動入札により決定されます。
会社 | 品質スコア | 最大入札クリック単価 | 広告ランク | 広告表示位置 | 実際のCPC |
A会社 | 10 | ¥200 | 2000 | 1 | ¥181 (=1800÷10+1) |
B会社 | 6 | ¥300 | 1800 | 2 | ¥201 (=1200÷6+1) |
C会社 | 3 | ¥400 | 1200 | 3 | ¥301 (=900÷3+1) |
D会社 | 1 | ¥900 | 900 | 4 | < ¥900 |
基本的に広告ランクは「入札金額」と「広告ランク」を掛けて算出されます:
[広告ランク] = [入札金額」× [品質スコア] + [広告表示オプションなど]
したがって、同一のキーワードへ品質スコアと入札クリック単価の異なる 4 社が入札したところ、高い品質スコアのために広告ランクで 1 位をとれた A 社の広告が上位に掲載できます。入札単価は、他社にも負けているにもかかわらずです。
実際に広告がクリックされたときに、A 社が Google に支払う金額は、
[実際に支払うクリック単価] = [次位のAdランク] / [自分の品質スコア] + 1円
にて計算されます。従って、
[A社が実際に支払うクリック単価] = 1800 / 10 + 1 = 181 円
となります。実際の入札は、200円でも、実際に支払う広告費は安くなるのが一般的です。
特に検索ボリュームの多い人気キーワードで、品質スコアが低い場合は、品質スコアの改善に努めましょう。品質スコアの平均点が 7 を超えるように広告、キーワード、LP を最適化するのが理想です。品質スコアの平均は、広告インプレッションや、コンバージョンなどで重み平均 (weighted average) を使って計算すると、アカウントパフォーマンスに影響度合いの大きいところがどこなのかがわかりやすくなります。
品質スコアを決める 3 つ要素
広告掲載位置を決める広告ランクは、広告の品質スコアに直接影響があることをご紹介しました。では、広告の品質スコアを決める要素についてご紹介します。品質スコアは、次の 3 つのポイントで計算されます。
- キーワードと広告の関連性 (Ad relevance)
- 推定クリック率 (Expected CTR, eCTR)
- ランディング ページの利便性 (LP experience)
1. キーワードと広告の関連性
Google 広告において関連性 (relevance) は重要なポイントです。広告作成の過程において、入札しているキーワードを広告文に含め、広告文一行目のテキストリンクがついたタイトル部分で目立たせることが理想です。ただし、これを実行するためには、アカウント設計の際の広告グルーピングも重要になってきます。広告は広告グループに連動しているので、広告グループをキーワードの意味合いごとに細分化することで、そのグループに含まれるキーワードにマッチした広告を出しやすくなります。
2. 推定クリック率
クリック率が高いほど、ユーザーが求めている情報が記載されている魅力的な広告であるといえます。推定クリック率は、広告文がユーザーにとって魅力的でクリックされやすいかどうかを測る指標です。したがって、広告文を作成する際には、キーワードとの関連性を保ちつつ、クリックされやすいようにアピールする必要があります。
改善のポイントとしては、ユーザーがクリックしたくなるような見出しや説明文にしたり、各キーワードに最適な広告文を考えましょう。例えば、広告文に具体的な数値を入れるとことでユーザーへの説得力が増します。また、競合他社との差別化も重要ですので、自社ならではの訴求ポイントやユーザーにどのようなメリットがあるのかなどを明示しましょう。
広告表示オプションの追加もクリック率の向上に効果がありますので、おすすめです。
3. ランディング ページの利便性
ランディングページの利便性とは、ユーザーにとって広告のランディングページ(LP)がどれくらい関連性があり、使いやすいかを表しています。ランディングページの内容とユーザーの検索語句との関連性の高さや、LP での操作のしやすさといった要素が考慮されます。キーワードと LP は関連しているが無駄な情報が多く LP が重い場合は、LP を快適なものに修正しましょう。LP がキーワードと広告文にマッチした内容になっているかどうかや、ボタンの設置個所や入力フォームはユーザーにとって利便性の良いものであるかどうか、などがチェックポイントです。例えば、入札するキーワードは、LP の内容から選定するのもよい考えです。さらに、新しい入札キーワードを追加する場合には、LP 内にも関連のあるキーワードとコンテンツを追加したり、LP を新しく追加してみてください。
さらにウェブページ自体の読み込み速度、モバイルに最適化されているかなど、よりテクニカルな要素も評価基準に組み込まれています。
品質スコアに関する注意点
広告の入札オークションに直接作用するのが、広告の品質スコアと、入札クリック単価、広告表示オプションになります。広告オプションは、Google 広告の管理画面で確認することができないため、広告の関連性、推定クリック率、ランディングページの利便性の評価を追いながら、品質スコアを改善し、より安いクリック単価で入札できるように、品質スコアを意識して活用することが重要です。入札オークションに関しては、連載第 5 回目「 Google 広告の料金の仕組み」もご覧ください。
品質スコアのチェック方法
実際に Google 広告の管理画面で品質スコアをチェックするには次のように行います。検索キャンペーン、一つのキャンペーン、または一つの広告グループを選択します。検索キーワードを選び、画面右の表示項目をクリックします。
表示項目をカスタマイズする画面が表示されるので、品質スコアのセクションから、品質スコア、推定クリック率、広告の関連性、ランディングページの利便性をチェックします。
適用をクリックすると、キーワードの横に品質スコアなどが表示されます。
推定クリック率、ランディングページの利便性、広告の関連性は、具体的な点数でなく
- 平均より上
- 平均的
- 平均より下
とい 3 段階で表されます。この評価が平均より下で尚且つ、表示回数(あるいはクリック数や費用)が多いキーワードから改善してゆくと、パフォーマンスの改善に繋がりやすいです。
[…] ブログ 9 回目「品質スコア」でも言及いたしましたが、広告ランクは「入札単価」×「品質スコア」+「広告オプションなど」により算出されます。品質スコアの重要性の説明はここでは省きますが、同様に入札単価も広告出稿の際に考慮しなくてはならない大切な要素です。以前は、入札単価は広告の予算を決めた後、広告掲載の目的に合わせて手動で調節してきました。しかしながら、Google の機械学習とビックデータの解析により、現在は自動入札の方が便利で使いやすく、手動で入札単価を調節するよりも効果的に高いパフォーマンスを獲得できます。 […]